いつだったかマグロの解体ショー及び即売会、というのがあった。
職人の方が長刀を使い、手際良くマグロを切り分ける。
マグロというのは本当に捨てる所が無いんだな。全部食べられる。
あの巨大なマグロから取れる最高級のお刺身は、確か電話帳の半分位で結構いい値が付いたと覚えているが、
他にもナカオチとか、骨にくっ付いている(あれは何という部位か知らない)身などは味見すると美味い。
細かく選別して一体どれがどの部位かはさっぱりわからないが、高級料亭や名のある鮨店にあのお刺身用のサクは直行するだろう。
稀少な部位であることは素人の僕でも分かる。
あの巨体から取れる最高級のサクはほんの少しである。
普段、牛肉を切り分けているから良く分かる。
生き物の生体や構造は真に神秘的で、一片の肉から皮一枚に至るまでどれひとつ見ても同じ所がないということも自然に分かってくる。
バラバラに解体されたマグロにしても牛肉にしても各部位はそれぞれの価値に見合った値が付くのだから、
これを神様が創造し、配分したのならそれはそれで面白い。
これに共通しているのは、あのマグロのサクも、牛肉でいえば例えるならヒレとしよう。
いずれも巨体から取れるのはほんの少しである。
色、形、肉質、鮮度、そして味わいと揃っていればこのほんの少しの部位は当然価値が上がり、値も上がると言うものだ。
そこへ大間の本マグロとかブランド牛のヒレとなればさらにはね上がる。
その価値観を無視してコストパフォーマンスや低価格のムードで売ってしまう訳にはいかない。
このほんの少しに敬意を払い、ため息もほんの少しする。
焼肉くにもと本店厨房にて