ほぼ一年中厨房の中で働いていると体がリズム感で動くものだから、まあ、いわば無心というものだろうか。リズムが狂うこともあるがそれ程でもない。
気になることがあっても「ま、いいか。」である。
この、ま 、いいか、があるとなんかうまくことが運ぶ。
ま、いいか、は主に大した事じゃない。大抵はどうでもいい事ばかりである。
連絡がこないとか、スムーズにいかないとかくらいである。
四角四面に全部綺麗に事が運ばなくても、ま、いいか、である。
そりゃあ大事なことで気を揉むこともあるが、概ね時間が解決してくれるものだ。
やることをきちんとやっておけば、後は流れに任せておけばいい。
段々といい歳になるといちいち物事に感動しなくなると本で読んだことがある。
そうか、感動が薄れるか。確かにそうかもしれないな。
熱くなる心が幾分減ったかもしれない。熱くなるのはいいが結構疲れる。が、うーん……、まだ熱いかもな。
静かに熱いんだ、多分、今は。
昔は、ま、いいか、はあまりなかったな。
熱すぎて触るとやけどするくらいだったのに最近は、ま、いいか、である。
よくわからないが、いい絵を観たり、気に入った音楽を聴いたり、ドライブをしたりと誰でもやっていることを楽しみにして、ま、いいか、の種を増やしている。
熱い心は静かにまだ熱い。多分。いや、まてよ、本当に熱いか?
「ま、いいか。」
焼肉くにもと本店厨房にて