仕事から帰って落ち着くともう夜中の3時をまわって何とか時間を絞り出して本を読んだり、映画のDVDを観たりしているがもうだめだ。眠ってしまう。
目が覚めるともういかなきゃ。
現場に入ると仕事をテキパキとこなし、営業が始まると後は閉店迄気が抜けない。
気が抜ける時間はうちに帰った時だけだな。だけどこれは困ったな。どこかで自分を解放してやらないと。
最近は通勤のクルマに飴玉を用意してあって、これを少しやる。少し気が紛れる。
何とささやかな息抜きだろう。飴玉。
若い頃などは飴玉なんぞで息抜きをしたことが無い。
飴玉などこの世になくとも困らなかった。しかし、今は必要だ。ささやかだがないと困る。
歳をとるということは不思議なものだと思う。
若い頃に感じなかったことが今は感じとれる。
若い頃に可笑しいと思えなかったことが今は可笑しくて笑う。時に腹がよじれるほど笑う。
若い頃に三日遊び歩いて翌日平気で仕事したが、今は三日どころか厨房から外に出たことがない。
ヘトヘトになった自分の顔を鏡で見るや、また可笑しくて苦笑いする。
で、ここで飴玉を少しやる。不思議だが気が紛れる。明日はまた仕事があるからと、早めに休む。
飴玉の味を覚えるのに60年近くもかかってしまった。
この飴の味は甘すぎて決してうまいと思わないがなぜかやめられない。
焼肉くにもと本店 厨房にて