「NOTHING BUT YAKINIKU」
新しい法律できましたね。10月1日施行。読みました。
あれでユッケを造って、どうだろうな、などと思いましたが、これより前に腹の中で決めておりました。
当店は生肉は廃止して売らないようにしました。
亡くなった人々がいるというのはショックでした。
同じ業界の人間として、あの事件と云うか事故というか、もう、いっぺんで嫌になっちゃった。
あれが自分の子供だったら、と思うこともありますね。
だからもう造りたくない、というのが正直な気持ちです。
お客さんの要望もよく承知していますが、どうぞお許しください。
昔、若い頃にあそび半分で働いていた大阪の焼肉店なんですけど、これが職人というか、先輩方はいい仕事してました。本当に。
メニューは当時、トン足、センマイ刺し、カオリフエ、レバ刺し、ユッケ。
あまり聞いたことないメニューもあるでしょう。
今は本当、見かけなくなりましたね。 時代と共に変わるんです、こういうのは。
焼肉とかホルモン焼きなどは、かつて朝鮮料理というカテゴリーの中でこじんまりとした範疇だった。ついこの間までは。
それがね、今はもう正面きって堂々と、こう何と云うか、日の目を見る食文化でありますね。
このステイタスはもうゆるぎない。
近所であそぶ子供達に「ヤキニク」とたずねれば「ダイスキ」と返ってくるでしょう、多分。
彼等はその時代に合った「ヤキニク」で育ってゆきながら、あと何十年もしてユッケもトン足もメニューにない時代になったにせよ、
今よりも進化した、自分のヤキニクを見つけるに違いありません。
スタンダードは時代と共に移り、変化してゆくと思います。
だから、僕は全部失った訳じゃない。
まだヤキニクがありますから。
これがある限り、まだまだやることがある訳です。
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