「めくって、けずって、削ぎ落とす」
部位別に肉を捌くんだけど、包丁で筋や皮、余分な脂などをそれこそ、めくって、けずって、削ぎ落とすわけさ。
そうするとだね、買った時の目方よりガクンと小さくなる。
硬い筋なんかが張り付いていて、
お前は一体何のためにここに張り付いてんだあ、なんてブツブツ言いながら肉を捌いている。
秤に乗せると買った目方の半分なんてこともあるわけで、払った代金を考えるとクラッとくる。
何処かの偉い料理人が無駄の中に極上がある、なんて言っていたが、これはまんざら嘘でもない。
金太郎飴のように、何処を切っても極上だったらいいんだがね。
ただね、捌いていくうちに、これが不思議に極上、中級、並と取れるものさ。
まるで神様が配分したかのようだ。
硬い筋は衝撃から極上の部位を守っているプロテクターの役割があるわけさ。
次回へ続く。