厨房思案 第112話 「エネルギーを持つ気」

通常ならば、皆様あけましておめでとうございますとご挨拶したいが、去年はコロナ一色で塗りつぶしたかのような日々で、我々も含めて皆さん大いに苦しんだ年だったから、おめでとうございますと言うのもなんか気が引ける。

ようやく年が明けて、これで少しは流れが変わるとよろしいですなぁと言う方が適切だろう。 まあとにかくウイルス一辺倒で、こうなると戦争ですな。 世の中の仕組みがガタガタと崩れてしまい、どうやって生きてゆけばいいか戸惑うものです。

戦争と言えば僕は戦後生まれなのでよく知りませんが、母など(91歳)の話しを聞くたびに、現代と比べてみたくなります。 敵の爆撃で命を落とすかもしれないという恐怖は当の本人しかわからない。 今はバクゲキや攻撃はゲームの中の話で、食べたいものだってなんとかなる。 そう考えれば大したことないって思う。年寄りの話しは聞いてみるもんですね。

今はむしろコロナ渦になって、今の自分の仕事や家族、生き方などを改めて考える時間ができたんじゃないかと思います。 昔、店を開店した頃を振り返ると、当時は身体中の力がみなぎり、空気のような夢は次第にエネルギーを持ち実現する。 それを正に実感したものです。 矢でもテッポウでも持ってこいという気のカタマリでした。

今はそれ程でもないですが、まだカタマリはいくらか残ってる。 今年は予想不可能ですが、ボチボチとゆっくり歩こうじゃありませんか。 根拠やエビデンスなんぞないですが、生きて行く絶対の自信は、どういうわけかまだまだあります。

気がエネルギーを持つように。



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令和3年1月1日