厨房思案 第99話 「ポリシー」

定期購読しているクルマの雑誌(ENGINE))が楽しみである。
仕事ばかりの日常で、娯楽と言えば映画(DVD)や少し変わった息抜きで掃除機を隈なくかける、あるいはクルマの雑誌を読むことくらいである。

結婚して間もない頃(40年近く前)は、給料をもらうとそっくり女房に渡して、こずかいは幾らだったか覚えてないが、年中ピーピー(お金に不自由しているという意味)していたのは覚えている。 だがクルマの雑誌は女房が買ってくれた。 モーターマガジン、ル・ボランなどだ。 その年のニューモデルとか価格などを見ては、手に入らぬもどかしさでため息を吐いていたものだ。

ところで、今月号4月号だったか、(ENGINE)の中で自動車評論家の西川 淳さんのお話が印象的だったので、ここに紹介したい。


西川さんは当時所有していたゴルフ2について
『エンジンをかけたらブルブル震えだし、内外装の立て付けにも粗さが目立った。 古くさいオートマチックにも首をかしげた。 けれどもひとたび70キロ/hを超えたなら信じがたいほどしっかり走った。 遅かったけれど凄かった。ポリシーがあるってこのことだなと思った』。

これは自動車の最も根本のところの『走る』ということにお金をかけたメーカーのコンセプトということだろう。 しかもちゃんと『走る』だけでなく凄かったとついもらすほどのクルマに仕上げてある。

この価値観はクルマと何の関係の無い焼肉の商売をする僕にも共感できるんだよな。 西川さんはこうも言っておられる。
『ブランドの方向性が明確で、テロワールに満ちている』とこのクルマを褒めている。

テロワールの意味は今度調べることにして、自分の方向性を時折確認して、これを励みにしたいと思う。

焼肉くにもと本店にて