「ハッピーバースデー」
よく電話の問い合わせがあるんだけど、初めてのお客さんである。
誕生日に食事をしたいが、何かサプライズがあるかという内容で、
あれは何というか、お盆にローソクを立てて、花火のようにパチパチと火花が散り、ご本人の前に持って行き、ハッピーバースデーツーユーというあれですね?と聞く。
そうだとおっしゃる。
いや、大変申し訳ないがそういうのは行ってないと、やんわり断っている。
あれはどうも安っぽい感じがして、演出としてはオーソドックスだが、今も時折あちこちで目にする。
お誕生日を祝ってあげるくらいだから、大切な人だし、何かしてあげようと思うのは人情である。
ならば、カードにメッセージを添えて食事の時にスーと差し上げてもいいし、面倒ならば食事の頃合いを見て、
少し背筋伸ばし、誕生日おめでとう、で良いではないか。
それにね、恐縮だがご注文頂いた肉達が目の前にある。手前ミソだがこれらは、充分その大切な日をカバーできると思うんだがね。
肉を網の上に乗せ、しばし無言の時流れ、ジュ~っと肉焼ける音聴く。
自然口元緩み、微笑むも良し、この瞬間が至福のお祝い。どうぞ、良い一年になりますように。